9th 『シャングリラ』
日時:2009年10月17日(土)13:00/17:00
会場:小美玉市四季文化館(みの~れ)森のホール
作/三池順太
○出演○
古山宗吾/首藤大亮 國枝孝政/ホラグチタダヒロ 比奈/山口里美 太吉/石川毅
黒男/鈴木貴幸 伽耶子/織笠裕美
○スタッフ○
佐川智伯 青木美都子 高須紀子 吉崎徹(株式会社ジャスト) 奥村達也 秋山雄太 小原真紀 他
ーSTORYー
「花のような痣だろう。体中に刻み込まれた満開の花。それを咲かせたのは、この拳だ」
ダリア咲き乱れる庭先で、國枝の息子はそう言って哂った。
國枝の家には霊が出る。
跡取り息子である孝政の暴力に耐えかねて、川に飛び込み自害した女中の霊が。
名は伽耶子。
その最後の姿には、何故か狐の面が被せられていたという。
伽耶子の霊に怯える使用人。
生前の伽耶子を嫌う情婦。
伽耶子を中心に零れ落ちる、人々の記憶の破片。
そんな國枝家にやってきた書生がひとり。名は古山宗吾。
天真爛漫な青年に戸惑う、國枝の跡取り息子。
哂う情婦、物言わぬ使用人。
庭に咲き乱れるダリアの花。そして廻らぬ風車。
日々が過ぎ、やがて青年はこんな事を言い出した。
「恋をした」
髪にダリアを飾った、狐の面を被った女に。
顔も体も傷だらけだが、口元に浮かべた笑みが印象的な、そんな女に。
「彼女は噂の幽霊だ。俺はな、彼女に触れる事が出来たんだ」
夜が更ける。今宵も、枕元に伽耶子の気配がする。
外からはカラカラと、廻るはずのない風車の廻る音が…